(久々に)読書書評。 仲暁子 著「ミレニアル起業家の新モノづくり論」

約3年ぶりぐらい?

当時、「おもしろ読書書評」ってタイトルで無料メルマガ配信してたんだよな。

 

全然読者つかんかったが。。笑

 

まぁ、そんなひさびさに書こうと思ったのはタイトルの本がめっちゃくちゃおもろかったからです。おもろいって言うと語弊あるかもしれませんが、僕にとってのおもしろいは色んな意味を含んでいます。

今回は、現代のインターネット社会における、企業のありかたとユーザーの行動、行動原理、日本企業の課題など、とても的を得ていてなかなかここまでクリティカルに言葉に落とし込めていることにびっくししたのと、かなり納得、腹落ちしました。(=おもろかった)

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まず本全体の構成ですが、ざっくり言うとこんな感じ。

・インターネット社会に対する日本企業の現状(課題山積み)

・現代の若者(80〜90年代に生まれた、ミレニアル世代)の解説

・若者を取り込むために必要な企業戦略

・日本企業の未来

 

まあ、中盤から後半にかけてだんだんと話が難しかったのでそこは後で読み直すとして、前半のところをメインに書評します。

これだけでもだいぶおもしろいんです。

第1章だけでも読むのをオススメします。

 

この本は著者の実体験を通してリアルに表現されていて、言葉の節々に彼女なりの強い想いを感じました。

世の中には色んなビジネス書がありますが、基本的に全て著者の実体験をもとに書いています。でも、その殆どが言ってることは分かるけどなんか行動に繋がらないんですよ。

でも今回は違う。それはただ実体験だけを綴っているのではなくて客観的なデータを織り交ぜているからその発言に根拠と説得力があります。

なんかだいぶん前に、ライフネット生命の岩瀬さんが「プレゼンはロジックとエモーションの両輪で回せ」的な事を言っていたのを思い出しましたが、まさにこの本が体現しています。

 

少し逸れましたが、本の単元を無視しつつ自分なりに内容について思ったことと解釈を書いて行きます。

 

とにかく日本企業は世界から遅れをとりまくっている

世界の時価総額トップ30が紹介されてます。

1位は言わずと知れた「アップル」、2位からは、「アルファベット」「マイクロソフト」「アマゾン」「フェイスブック」と続きますが、日本企業のトップは「トヨタ自動車」で28位です。

その上には中国や韓国、台湾の企業も入ってます。

この時点で若干の敗北感があります。

 

紹介の通り、上位にはインターネット系の企業が軒並み名を連ねています。

ここで言いたいのは、「トヨタもっと頑張れ!」じゃなくて、「日本のインターネット企業どこ行った?」です。

 

時価総額って簡単に言うと、将来の成長に対する期待度って言い方が出来ます。

 

市場規模とか営業利益率とかさまざまな指標で見ても、今の世の中インターネット系が上位に来るのは当たり前で(本でも紹介があるが、フェイスブックの売り上げが2.8兆円に対して、トヨタは27.6兆円。でも営業利益はフェイスブックが1.2兆円で45%。一方のトヨタは2兆円で7.2%。すげー差だな。。と改めて感じる。)この流れは今後ハードを扱う企業も事業内容をシフトしていかなければもうヤバイなと感じさせます。

 

いちユーザーの視点からすると、すっかりインターネットが生活の一部になってて、日本企業が提供するサービスも増えてきて盛り上がってんなーって感じるけど、マクロの視点で見れば一目瞭然。かなり遅れをとっていることがわかります。

 

ここで本書の中で僕がかなり気に入っている部分を紹介します。ここに僕は日本への愛を感じました。

 

"あなたが思っているほど世界では誰も日本の漫画なんて読んでないし、アニメも見てないし、クールだとも思ってないし、せいぜい干からびた寿司をいわゆる日本の寿司だと思ってスーパーで買っている程度だ。何度も言うが日本なんて誰も注目してないし、世界最大の旅情報サイト・トリップアドバイザーの2017年の人気観光地ランキングでもトップ25位にも入っていない。別にそれがどうってことなければそれでいい。ただ、もし日本が世界で注目されている!なんて思っていたらその考えは正さなければならない。美味しい市場があるけれど商習慣が独特すぎて入りづらいなあ、なんて思われているぐらい。"

 

本書の良いところは一見、批判だけに見えるこの文章に先があるところです。先を読み進めると、アメリカ発の企業が強い理由が書いています。ざっくり言うと、英語を使っているから(当たり前だが)。インターネット系のサービスはハード製品よりも文化ごとの言語・ビジュアル依存が著しい領域だと言っています。アメリカ発のサービスはもちろん、英語を使っています。それが、日本でいう東京から全国に広まっていく感覚で、アメリカ、ヨーロッパ、オセアニアへと広がっていきやすいということ。そして、コミュニケーションの取りやすさ、「人のつながり」が結局は成長を後押ししていると。投資家の投資の判断材料として、技術力やブランディングはもちろんありますが、「しっかりとコミュニケーションが取れるか」は大切にしていると言います。まぁ、結局は人だからなんとなくわかる気がします。つまりは英語を勉強して、喋れて、使えるようになれってこと!とてもナットクです。

 

ここまで言ってあれですが、そもそも世界に勝たないといけない理由は?って声も聞こえます。それぞれの企業が掲げるビジョンがあってそれを満足出来ていれば、時価総額の順位なんて別にどうでも良くないかって意見も当然あります。

日本で生まれて日本語を母国語として、日本語を使って企業活動をしていて、世界から見ればビハインドを持たされているように見られて、別に関係ないし、仕方ないじゃないかって思う気持ちもわかります。

むかし、ホリエモンライブドアの社長をやっていた頃、彼は「時価総額世界一」を目指していました。

目指したい人、企業だけが目指せば良いじゃないかって気持ちもわかります。

それもそうだけど、でも違うんです。時価総額が高いって言葉面だけ見れば、あまり価値もないようにも見えますがそうじゃないんです。

時価総額の上位にはアメリカの企業が名を連ねています。要は、アメリカからどんどん生活を便利にしていくサービスが生まれているしこれからも生まれるってことです。言い方変えると、アメリカが他のどの国よりも先にこれらのサービスが展開されていき一番先に便利になっていき経済的に発展していきます。こう言われると時価総額って単なる相対的な比較だけではなくて、見方が色々とあるように思えます。これからもチェックしていきたいと思います。

 

今、私たちが生きているのは下りエスカレーターの時代

僕は正直モノをあまり持ちたくない。身軽な方が物理的にも気持ち的にも楽で、基本的にアクセサリー系はつけたくないし、雑貨とか家に置きたくない。無駄に家電も増やしたくない。壁に埋め込まれてる一体型のテレビの家に住みたい。車は好きだけど所有しようとは思わない(でもバイクは乗るととても爽快でリフレッシュできるので所有してる)。出来れば移動に困らない都会に住みたい。

スマホ一台で出来ればなんでもやりたい。PCは好きだけど、無くても不便でなければ持ちたくない。本書の中で「ものはもういらない」とあります。ものに対する価値観の変化が起きていて、モノの所有は喜びでは無く、負担でしかないと。実際、モノを持たなくとも、交通手段としてはウーバーがあって、宿泊・滞在はエアビーアンドビーがある。オフィスとか洋服なんかもレンタル出来る時代になっています。これからこれらのサービスはもっと拡大していくし、より効率化が働く。これによって大量消費型社会が終わって、本当に大切で欲しいものだけを所有する。そっちの方が個人の幸せとエコの両立が出来る。なんともいい世の中じゃないかって思います。僕は普段から同じようなことをイメージしているのでそれについて言及している点はかなり納得でした。

 

でも、日本においてはこれらのサービスはなかなか普及して行かないのが現実です。『規制』と『既得権益』が大きな障壁として立ちはだかっています。

ウーバーは、一般のドライバーが登録して自家用車を使って人を運ぶことができるサービスがもっとも魅力的な点ですが、日本ではまだ認められていません。そこには、先程の規制と既得権益が絡んでいます。

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エアビーアンドビーは、一応のサービスは最近日本でも法律が改正されて一定の条件下で認められていますが、めんどくさい手続き登録などのルールが大きな足かせになっています。

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早いとこ政治主導でこれらの規制・既得権益をぶっ壊してくれないと世界との差はどんどんと広がっていく一方です。本書でもこのように危機感を煽っています。

”今、私たちが生きているのは下りエスカレーターの時代。毎年の用に新しいデバイスが登場し、ソフトウェアも更新され、そのソフトウェアを構築しているフレームワークプログラミング言語もどんどんアップデートされていく。1年前の知識が今じゃ時代遅れになっていたり、2年前のアプリのデザインがもはや非常に古臭く感じる。つまり、下りエスカレータで止まっているだけだとどんどん下に下がっていくが、歩いて登っている状態でやっと現状維持、かけ上がることでやっと上にいけるのだ。”

今の日本の政治家にこそ聞いてほしいメッセージです。

 

 

現代の若者に対して

著者の仲暁子氏は「ウォンテッドリー」といういわゆる企業と個人をマッチングするビジネスSNSを運営してます。

www.wantedly.com

 

書くの疲れてきたので、最後は今の若者に対して何かと印象に残りそうな文章を紹介して終わります。

 

”日本を良くしたいとリスクをとって始めた会社のがソニーだとして、その50年後に「安定した大企業」の代名詞になって、とにかく安定を求めた若者だけが集まってしまうといった現象”

 

 ”人を採用する行為は、その人を幸せにする自信がないとやってはいけないこと。その人が会社で活躍し評価され、給与がしっかり上がるということ。今は人が足りていないからとうまく取り繕って採用するのは会社側の都合であって長期的に両者とも必ず不幸になる。”

 

”日本の学生は基本的に20代を無駄にし過ぎている。その原因は熾烈な受験戦争にあるのかもしれないが、10代終わりに燃え尽きて、貴重な大学生活は麻雀やパチスロ、よくわからないバイトで自分の時間を切り売りしてあっという間に4年間を空費してしまう。そして周りに流されて一斉に集団就活、就職をし、気がつけば2、3年が経ってもう25歳か、26歳だ。20台の半分が終わっている。

毛沢東が残したいい言葉がある。大事をなすには3つの要件が必要で、それは「若いこと、貧乏であること、無名であること」。つまり20代は、思っている以上に貴重だということだ。体力もあるし、無理もきくし、失うものもない。特に、何も失うものがないというのは非常に強い武器だ。”

 

特に最後は自分にはクリティカルヒットで、学生の頃に出会いたかった言葉です。

 

 

また、書評やろうかな。